初恋タイムスリップ(成海side)
桜木が眩しそうに、俺を見上げた。
ずっと見つめられている。
こんなに桜木と見つめ合う事が初めてで、
これ以上見つめられたら、
俺は撃沈されそうだった。
「なっ・・成海くん!」
まっすぐな目で桜木が俺を呼んだ。
「あ…わっ
わ………わ」
……ん?桜木?
桜木は言葉にならない言葉を言い出した。
「わっ……
わたっ・・・私・・
すっ
好き。
成海くんが
好き」
そう言って、ズボッ!と俺のマフラーの中に顔を半分以上埋めた。
その仕草がなんか、かわいくて、
俺を好きだと、言ってくれたことが、
うれしくて………
「好き?」
「うん」
「俺の事?」
「うん」
「じゃあ・・彼女になる?」
「うん」
何を聞いてもすぐに頷く桜木が、
かわいくて
愛おしく思った。
「じゃあ…付き合おうな。
美音」
名前で呼んだら、
美音は、
ぽろぽろと泣き出した。
俺のマフラーの上に、
美音の涙の雫が、こぼれ落ちてきて、
そのひとつひとつが街灯に照らされてキラキラ輝いていた。
俺は、マフラーの中に少しだけ指を滑らせて、
美音の涙を拭ってあげた。