初恋タイムスリップ(成海side)
その日から、
廊下を歩いているだけで、
何人もの女子に声をかけられるようになった。
聞かれることは、みんな同じ。
「桜木さんと付き合っているって本当?」
だから、俺は全部に同じ答えを言った。
「付き合っているよ。大切にしたいと思っている」
美音を傷つけるようなことは、
しないでほしいという意味もこめて。
数日後、
「成海・・桜木大丈夫か?」
放課後、部活中、
篤志が心配そうに声をかけてきた。
「大丈夫って、どういう意味だよ」
「お前らが付き合いはじめてから、
俺、しょっちゅう聞かれるんだよ。
『成海くんって本当に桜木さんと付き合っているの?』って。
だから、本当だよっていつも言っているんだけどさ・・」
「だけど・・?」
「俺が、そう言った後の、女子達の態度がさ。
『桜木さんって大人しいと思っていたら、
裏の顔があるのかもね』とか、
『どんな手をつかって成海くんの気を引いたんだか』
とか、桜木のこと悪くいうんだよ。
女って怖っ!って思った。
だから、桜木大丈夫かな・・と思ってさ」