初恋タイムスリップ(成海side)
Ⅳ
美音と付き合うことになってから、
俺の部活が終わるまで、
美音は、音楽室でピアノの練習をして
そして、一緒に帰った。
部活が終わり、ロータリーへの階段を篤志と昇った。
「篤志、帰り・・ごめんな」
篤志は、はあ?と首をかしげた。
「何がだよ。俺を一人にしてごめんってか?
子供じゃねーし。
そんなの気にすんなって。
じゃあな」
篤志は、片手を軽く振って、
帰っていった。
しばらくロータリーで待っていると、
バタバタバタっと、
足音が校舎から響いてきた。
ガタガタ、ダン!!
そして、美音が校舎からダッシュで出てきた。
そして俺の前で、はあはあと息を切らしていた。
走ってきたのか・・
俺は、美音の頭を撫でた。
「そんなに急がなくても、ちゃんと待っているよ」
そう言って
一緒に帰ってからはじめて、
そっと、手をつないだ。
はじめてつないだ美音の手は、
折れてしまいそうなぐらい、
細かった。