初恋タイムスリップ(成海side)
篤志と別れ、家の前まで前野がついてきた。
「本当にごめん」と俺が謝ると、
前野は、泣き出した。
「なんで……なんで桜木さんなの……
なんで!!
私、ずっと好きだったのに。
成海くんのこと、ずっと好きだったのに!
私の事、好きになってくれるって信じていたのに!!」
前野は、声を出して泣き出した。
「美音じゃないとダメなんだ。
なんでって……
なんでなのかは、わからない。
でも、どうしても美音じゃないとダメなんだ。
だから、ごめん」
前野は、リボンのついた箱を俺にぐっと差し出した。
「受け取って。受け取るだけならいいでしょ?」
涙目で前野が訴えてきた。
「美音のしか、俺は受け取らない。
ごめん」
俺は、家の門を開けて入り、
前野の泣き声を聞きながら、門を締めた。