初恋タイムスリップ(成海side)
放課後、いつものように部活の練習をし、
片付けをしていた。
「そういえば、今日はピアノの音しねーな」
篤志が校舎を見上げて言った。
そう言われてみたら、そうだな。
俺は、音楽室がよく見えるところまで歩いて、
中を見た。
すると、電気はついているのに、
ピアノの椅子には誰もいなかった。
なんか、あったのか・・・
「俺、ちょっと見てくる」
俺は、ダッシュで校舎へと走った。
そして、中に入って階段を登りきったところで、
音楽の瀬戸先生とぶつかりそうになった。
「あ・・すみません」
瀬戸先生は、びっくりしていた。
「成海くん。どうしたの?」
「音楽室の美音・・あ、桜木が、
グラウンドから見えなくて、
音もしないし・・」
瀬戸先生は首をかしげた。
「成海くん?え?
桜木さんと・・え?」
あ・・バレた。
「そうだったのね。
そう……
私もね、音がしないから気になって…
今、見に行くところ。
一緒に行く?彼氏くん」
「いや・・外で待っています!」
俺は、恥ずかしくなってその場をダッシュで逃げた。