初恋タイムスリップ(成海side)
お母さんのことを聞いたら、
「ちょっと今具合があまりよくなくて・・」
と言っていた。
具合・・
そうか。
俺は、そんなに深刻なことではないだろうと、
軽く流していた。
そして、家の前、いつもの街灯の下に着いた時、
「あの・・これ
一日遅れちゃったんだけど・・」
と、茶色の紙袋を渡してきた。
バレンタイン・・だよな。
いつも俺から話しかけることに対して、
答えるだけだったのが、
美音から言葉を発してくれたことが、
すごくうれしかった。
「あ・・ありがとう」
俺は、そっと受け取った。
好きな子からもらうバレンタインが、
こんなにうれしいものなのかと、
初めての気持ちを知った。