初恋タイムスリップ(成海side)
家に帰ると、
オルゴールの音がした。
不思議に思って、リビングをあけると、
優が両手でオルゴールを持って、
蓋の中をじっと見ていた。
「あ・・おかえり、これね、
良に見せたいって行ったら、
園長先生が貸してくれたのよ」
母さんが優の隣に座った。
俺は、優の前に座って、
オルゴールを見た。
優の両手に収まるぐらいの白い小さなグランドピアノ。
「おいいたん。おと。うう?(音する?)」
優は、オルゴールを自分の耳にくっつけた。
優は、首をかしげた。
そして、やっぱり、聞こえなかったのか、
中身の機械の動きを、じっとまた見始めた。
「これね、隣の駅の近くにある
△△っていうお店で買ったらしいんだけど、
映画を公開したころに買ったらしいから、
だいぶ前ね・・
まだ売っているかしら」
そうか・・・
「母さん。ありがとう。
俺、今度の日曜日に探しに行ってみるよ」
「お母さんも一緒に行こうかしら」
俺は、ふっと笑った。
「もう、中2だよ。ひとりで大丈夫だよ」
母さんは、「まだ中2でしょ」と笑った。