初恋タイムスリップ(成海side)
3月14日
いつもの帰り道。
そして美音の家の前に着いた。
「これホワイトデー」
俺は小さな白い箱を美音に差し出した。
「ありがとう…」
美音は、受け取ってくれた。
やせ細ってしまった美音を間近で見て、
胸が痛んだ。
「開けても…いい?」
「うん」
美音は箱を開けて、小さな白いグランドピアノを出した。
そして自分の手の平に乗せて、とても切なそうに見つめた。
「蓋、開けてごらん」
美音は一度俺を見て、
そっとグランドピアノの蓋を開けた。
♪♪♪〜〜〜〜
♪♪♪〜〜♪〜♪〜
♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜
あの時、
美音が俺に弾いてくれた曲が
優しく流れた。
美音に喜んでほしくて
美音に元気になってほしくて
美音に笑ってほしくて…
「探したんだよ…」
美音はオルゴールを胸に抱えて、
地面にしゃがみ込んで
号泣した。