初恋タイムスリップ(成海side)
Ⅴ
3月28日
中学2年の終業式
美音の家の前
「成海くん…別れたい」
美音からの初めて頼みは、
別れることだった。
やっぱり俺が…
苦しめていたんだ。
「ごめんな…」
俺は謝った。
美音は、無表情だった。
俺がこんなに痩せさせてしまったのか…
「じゃあ
ちゃんと食べろよ…」
俺はそれだけ言って、
初めて一度も振り返らずに
家へと歩いた。
何もしてあげられなかった。
いや、違う。
別れてあげられたじゃないか。
本当は好きなのに。
別れたくなんかないのに。
美音の頼みを聞いてあげられたじゃないか、
ちゃんと最後に。
美音のためだ。
美音のため…なんだ。