初恋タイムスリップ(成海side)
春休みに入った。
毎日午前中は部活で、
少し、気が紛れた。
「『別れたい』って言われたんだ」
部活の休憩中、
篤志と座ってフェンスに寄り掛かりながら、
俺は篤志に別れた事を告げた。
「マジで…
なんで…その…なんで『別れたい』なんて…
成海は納得できてんのかよ」
篤志は体を起こした。
「納得っていうか、
元々、付き合っている間も、
俺の片思いだったんだよ」
篤志はあぐらをかいて、自分の頭をぐしゃぐしゃっとかいた。
「訳わかんね−!
なんだよそれ」
俺はフェンスに寄り掛かったまま、
「振られるって
結構きっついな……」
そう言って目を閉じた。
「成海…お前、あきらめられんのかよ。
そんな終わり方でいいのか?
後悔しないのかよ」
俺は目を開けて笑った。
「時間が経てば忘れんだろ。
そんなもんじゃね−の?
わかんね−けど」
俺は立ち上がってジャージについた砂を払った。