卒業
 だいたい私がやっとの想いで由美だけにうち明けた気持ちを勝手に深谷に教えていた由美に段々腹が立ってきた。


 「何て言ったの?」


 「深谷はそれでも諦めないって言った。薫の気持ちを言ったら諦めて私の方に来てくれると想ったん。でも違った。


 でも気持ちをまっすぐに持つ深谷がもっと好きになった。


 そしたらもっと薫が羨ましくて・・・憎くなった。


 だからクラスの皆に言ってやったの。


 薫は深谷と正樹の二股かけてたんだけど、深谷に飽きたから深谷を振って正樹にしたんだって。


 皆の反応分かる?女子なんて見にくいカエルみたいな顔になってたよ!」



 うっすら笑みを浮かべて棒読みで語る由美が少し怖かった。

 
 深谷はクラスの女子には絶大な人気をほこり、男子の中ではリーダー格だった。

 
 由美の話を聞いて、なぜクラスがあそこまで団結していたのかが分かったような気がした。
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