卒業
「ドカン?」
小さい時には公園の真ん中にある色の禿げたドカンの中に入って隠れん坊したけど・・・さすがに小4で普通に遊んでてドカンに入ることはなかなか無い。由美がドカンの中を見たって・・・何してたんだ?

「そうそうドカン!昨日、ちょっといろいろあってドカンの中に入ったん。したら、何があったと思う?」

「何?」
ドカンの中にっていうよりいろいろあっての方が気になったけど、とりあえず興味津々なふりをしてみた。

「あんね、ドカンの中に緑の字で杉下薫って書いてあったん!ビックリした?」

ビックリってより、ドカンの中に私の名前・・・その頃のハヤリと言ったら不幸の手紙やいたずら電話だったから、赤くなった由美の顔には気付かずに脅迫!?とか誰かに恨まれてる!?とか必死に考えていた。

「それが、その字ってのが!絶対に深谷!!!」

え!内心ぎょっとした。深谷っていったら、クラスの中でもモテモテのサッカー少年。
背も高くて体育の時なんて女子からの声援が絶えなかった。
欠点をしいていうなら・・・クラスの男子の中ではリーダー的存在で男子からは怖がられ、年上の女の人と付き合っているっていうウワサがあった。
そんな彼が私に脅迫??男子から恐れられていた彼を思うと、背筋がゾクッとした。
< 3 / 27 >

この作品をシェア

pagetop