卒業

　もう一人の図書委員は正樹に気まった。そういえば本が好きって転校してきた時のあいさつで言ってたっけ？
　私の仲の良かった男子といえば、サッカーや野球の少年団に入り、学校にもジャージで登校。ジャージじゃない男子をからかい、学校が終わるとイスにバネが付いてる！？って思うほど急いで教室から飛び出してグラウンドに走り、日が暮れて家に帰る頃には泥だらけになっていた。クラスのほとんどの男子はそんな感じだったから、いつも図書委員に自分で進んで立候補する人は居なく、いつも嫌々じゃんけんに負けてしかたなく・・・っていうのが通例だった。


　ところが、彼、正樹は違った。
彼は進んで図書委員になった。今から思うとしょぼって思うことで騒いでたんだけど、小学生の私には正樹の存在はかなり衝撃的だったのだ。