恋想曲 ～永遠の恋人へ～

その遼ちゃんが、突然現れた。


ガラガラガラ！



荒々しくドアを開けてツカツカと入ってきた。

息を荒くして、いつものマイペースな感じじゃない。


遼ちゃん…？


遼ちゃんは私に目を向けず、真っ直ぐ柏木先輩の前に立った。


「遼、久しぶりだな。元気だったか？」

柏木先輩は、さわやかな笑顔で遼ちゃんに手を上げた。


「何しに来たの？」

ちょっとひきつった笑みで柏木先輩を見る遼ちゃん。


「何って…みんなの様子見に来たの。色々と教えようと思って……ね？」


ね？って…

そんなかわいく顔を覗きこまれると困るんですけど！


顔がどんどん赤くなる。


そんな私の顔を見て、遼ちゃんは柏木先輩の腕を引いた。

「ちょっと来て」



なんだか今日の遼ちゃん変だよ。

今、慌ててたよね？

走って来たの？


柏木先輩の方が、いつもの遼ちゃんぽく見える。


慌てた顔の遼ちゃんと、笑顔の柏木先輩。


私の好きな人と憧れの人。


二人は風が吹いたようにどこかへ行ってしまった。