恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「ほら、行くぞ」

私の頭に乗せた遼ちゃんの手は温かかった。


いつものように優しく笑いかけてくれた遼ちゃんの瞳。

その瞳が、私の顔を見て曇る。


泣きだしそうな私の瞳が、遼ちゃんを見ていた。


違うよ、遼ちゃん。

私、遼ちゃんに怯えてるわけじゃないよ。

あの男の人たちが怖かったの。

遼ちゃんの冷たい声に驚いただけ。


言いたいことがいっぱいあるのに、声が出ない。



遼ちゃんが無理に唇の端を上げて笑った。


遼ちゃんの背中がどんどん離れて行く。





遼ちゃん



遼ちゃん



行かないで。



そんな寂しそうに笑って


ひとりにならないで。




私、好きなんだよ?




遼ちゃんのことが



大好きなんだよ…。





どうして振り向いてくれないの…?









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