恋想曲 ~永遠の恋人へ~
顔を歪めた遼ちゃんが、ゆっくりとこっちに来る。


やだ…

こんな顔見られたくない。


涙がボロボロおちてきた。



私は何も考えず走りだした。


後ろから遼ちゃんの足音が聞こえてくる。



来ないで!

お願いだから、来ないで!



行き場のない私は、そのまま玄関を飛び出した。


扉を押し開けた瞬間、遼ちゃんの声が聞こえた気がしたけど、かまわず走り続けた。



雨…


空を見上げた瞬間

鋭い光が目の前を走り、地面が揺れるほどの大きな音が響いた。


「きゃ!!」


雷の音で、私はその場にしゃがみこんだ。


「だから言っただろ…」

大きなジャージが私の頭に被さった。


見上げると、雨に打たれながら息を切らせてる遼ちゃんがいた。










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