恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「あははっ、そっかそっかぁ‥良かったね」

嶌田部長が私の目を見て優しく微笑んでくれた。


心配してくれていた嶌田部長。

部長のほっとした笑顔に、お礼の意味を込めて頭を下げた。


そんな私と嶌田部長を遼ちゃんは不思議そうに見ている。



遼ちゃん、遼ちゃんが意地悪だって言った嶌田部長は、私達のこと応援してくれてたんだよ。

今度、ゆっくり話すからね。



「やっぱり付き合ってたんだ~」

周りからはやし立てる声が聞こえてきて、

私はどう反応したらいいのかわからず、戸惑いながら「はい」って答えた。



「よかったね、葵ちゃん」

太田先輩が微笑んで両手を握ってくれた。


「え…?太田先輩、私の気持ち知ってたんですか?」


「もちろん。毎日一緒にいればわかるよ。葵ちゃん顔に出やすいし…ね?東」


「うん。俺も薄々気づいてたよ。どちらかと言えば、小川先輩の方にね」



遼ちゃんの気持ち?



「だって小川先輩、葵ちゃんが来てから‥▲◇Δ★○!」


面白がるように遼ちゃんに視線を送りながら話す東先輩の口を、遼ちゃんがすごい勢いで塞いだ。


「おまえ、うるさい!!」


私より赤くなった遼ちゃんの顔を見てみんな笑ってる。


訳が分からなかったけど、私も可笑しくて笑っちゃった。



「帰るぞ!」

遼ちゃんが私の手をぎゅっと握って音楽室を出る。



「「お疲れ様でしたー!」」

ってみんなの明るい声に見送られながらね。




みんな、いつから気づいてたんだろう。


初めての演奏会?

夏祭り頃?


思い当たる出来事がいくつか浮かんできて恥ずかしくなる。



だけど、学校を出ても冷めない遼ちゃんの赤い顔を見ると、恥ずかしさより嬉しさの方が勝ってくる。



遼ちゃんの握ってる手が私より熱くて…

胸がキュンってなった。








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