恋想曲 ~永遠の恋人へ~
お風呂に入り、冷蔵庫からサイダーを出しているとおばあちゃんが声をかけて来た。



「なんだか最近の葵ちゃん、良い顔してるね」


「うん。すごく幸せ。おばあちゃんは?」


「おばあちゃんはいつも幸せだよ。みんな健康だし、優しくしてくれるからね」



ニッコリ笑ったおばあちゃんの小さな瞳が、とても幸せそうに見えた。



お父さんとお母さんが新しく建ったスーパーの話をしている隣にちょこんと座ってテレビを見るおばあちゃん。

お母さんが明日一緒に行こうっておばあちゃんを誘うと、おばあちゃんは「そこは饅頭売ってるかい?」って聞いた。

お父さんは、笑いながら「饅頭はどこのスーパーにも置いてるよ」って答えた。


私はサイダーを飲みながらそんな光景を、ほのぼのと見ていた。



家族って一緒にいることが当たり前だと思ってたけど、

当たり前だと思い込んでいるものこそが、幸せなんだね。

なんだか、とても深いな…。


おばあちゃんはその意味をいつ知ったんだろう。



今の私は、まだそのことに気づき始めたばかりだった。





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