恋想曲 ~永遠の恋人へ~
よかった…。

これでコンクールに出場できる。


このまま参加しなかったら、誰よりも嶌田部長が悲しむもんね。

麻衣子だって悲しい思いをする。



今の私達に出来ること…

それはコンクールで思いっきり演奏してくることだと思うんだ。


これまで頑張ってきた証を演奏して、みんなの胸に刻みつけること。



私はもう一度みんなの思いを見るように、カーテンを見上げた。




みんなが砂山先生と信汰に声をかけている中、遼ちゃんがカーテンを見つめる私の所に来てくれた。


「サンキュ、葵たちが作ってくれたカーテンのおかげだよ」


「ううん、みんなの思いが同じだったからだよ」



遼ちゃんがそっと私の手を握りカーテンを見上げた。


真っ直ぐな目をした遼ちゃんの横顔がとてもきれいに見えた。



大丈夫…。大丈夫だよね?


嶌田部長も麻衣子もみんなも、


最後は笑って話せるよね?




私の不安を消すように、私の手を握る遼ちゃんの手に力が入った。


大丈夫。

大丈夫だよ…。




私は遼ちゃんの大きな手を握り返した。


< 145 / 326 >

この作品をシェア

pagetop