恋想曲 ~永遠の恋人へ~
演奏が終わると、会場全体から拍手が沸き起こり、

私達は力いっぱい拍手をした。



砂山先生は汗を垂らしながらその光景に目を向け、深々と一礼した後みんなとステージを後にした。


堂々とステージを後にする先輩達の姿が、すごく誇らしかった。




お姉ちゃんは拍手が鳴り止まないうちに嶌田部長が運ばれた病院に向かった。


走りだしたお姉ちゃんの胸には外されていたネックレスが飾られていて、

どんな高価な宝石よりも輝いて見えた。




私達はホールの外で先輩達が来るのを待ち、先輩達を笑顔で迎えた。


別人のように演奏していた先輩達が笑いかけてくれた瞬間、

なぜだかものすごくほっとした。


何年も離れていた人たちに逢ったような感覚だった。




戻ってきた先輩達の第一声は「林先生から連絡は?」だった。



連絡がまだないことを伝えると、砂山先生が林先生の留守電に演奏が終わったことを入れ

みんなで審査結果を聞きに会場に戻った。





席に着くと、ステージで遠く感じるほど輝いていた遼ちゃんの手を握った。


「きっと嶌田部長にみんなの演奏届いたよ…」



遼ちゃんは、私の頭を優しく撫でて微笑んでくれる。


遼ちゃんの優しい眼差しが、ざわめく会場の中で私だけを包んでくれた。


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