恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「これから受験勉強で忙しくなるね」


「うん…たぶんね」


遼ちゃんの返事に『たぶん』がつくのは2度目だった。


「大学以外にやりたいことがあるの?」


私の質問に言葉を詰まらせた遼ちゃんは、優しく私を抱き寄せた。


「遼ちゃん…?」


「俺、まだ自分がどうしたいかなんてわからないんだ。だけど、いつも葵の傍にいたい。これだけははっきりとしてる」


「うん。私も遼ちゃんの一番近くにいたいよ。遼ちゃんのことが大好きだもん」


「俺も、葵がすごい好き」



引き寄せられるように、どちらからともなく唇を重ね合わせた。



「遼ちゃん‥すき…」

「うん、知ってる」

「だいすき…」

「知ってる」

「すきだよ…」

「うん、俺も‥誰よりも好きだよ…」



何度も言葉と唇を重ね、想いを伝えあった。



言葉で伝えきれないこの想いは…


どうすれば伝えられるんだろう。




15歳の私は、遼ちゃんを強く抱きしめ必死に想いを伝えようとしていた。




< 167 / 326 >

この作品をシェア

pagetop