恋想曲　～永遠の恋人へ～
遼ちゃんが重たい大きな扉を開けると、畳の緑のいい香りがすっと鼻に入り胸がいっぱいになった。


「おじいちゃん！」


遼ちゃんが叫ぶと、おじいちゃんはすぐに機械を止めて後ろを振り返った。

「おじいちゃん、遼だよ！」


遼ちゃんの明るい声がおじいちゃんに届く前に、おじいちゃんは目を輝かせた。


「遼！！」

遼ちゃんの顔から目を離さないまま機械を避けてこっちに来るおじいちゃんは、

遼ちゃんに会えることをずっと待っていたんだ。



感動の再会を、私はもう一度目にした。




おじいちゃんは大きくなった遼ちゃんの頭を、小さい子を撫でるようにクシャクシャと撫でた。


そして遼ちゃんから紹介された私の頭も「よく来たなー！」って撫でてくれるとても温かい人だった。




おばあちゃんがいる家に三人で戻ると、遼ちゃんは高校を卒業したら畳職人になりたいって話をした。


それを聞いたおじいちゃんは「毎日しごいてやるからここに修行に来い！」って厳しい顔で嬉しそうに言ったんだ。


おばあちゃんは、おじいちゃんに熱いお茶を入れながらこっそり泣いていた。










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