恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「嘘だと思うなら遼に聞いてみなさい」


そう言って神崎先生は理科室から出て行った。



どのくらい私はそこにいたんだろう。


音楽室からトランペットの音が聴こえてきて、部活が始まっている時間だと気づいた。



「行かなきゃ…」


抜け殻の私はごみ箱を片手に理科室を出た。






遅れて音楽室に入った私を見つけた麻衣子が、私を廊下に連れ出した。


「葵、大丈夫?信汰から話は聞いたよ。小川先輩と話せたの?」


私は顔を横に振った。

泣かないって決めてたのに、麻衣子の顔を見たら涙が溢れてくる。


「麻衣子…わたし‥どうしたらいいかわからない。遼ちゃんのこと信じてたのに…信じてるのに…」


流したくない涙が次から次へと落ちてくる。




「小川先輩のところに行けよ!」


信汰が音楽室から出て来て言った。



「ちゃんと小川先輩と向き合えよ‥会ってちゃんと話せよ!」


信汰に背中を押され、私は走りだした。




大好きな


大好きな



遼ちゃんのもとへ……。






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