恋想曲 ~永遠の恋人へ~
遼ちゃんの教室の前に行くと、知らない男の人が声をかけてきた。


「誰か探してるの?」

「遼ちゃ…小川遼さんいますか?」

「遼?あっもしかして遼の彼女?
ちょっと待ってて、今呼んでくるから」



ちょっと親切にされただけでまた泣きそうになる。

そのくらい私の心は脆くなってた。




「どうした?」


遼ちゃんはすぐに来てくれた。

突然来た私に喜んでるのが遼ちゃんの顔でわかる。



だけど、遼ちゃんはすぐに私が泣きそうになっていることに気づいた。




「葵、ちょっと場所変えよっか…」


私の手を優しく握ってくれた遼ちゃん。




これからとんでもないことを聞く私を許して…。






遼ちゃんが連れて来てくれたのは、普段あまり使っていない資料室だった。


山積みになった資料が窓を隠して薄明るい狭い部屋。



遼ちゃんはパイプ椅子のホコリを落して私を座らせてくれた。








< 212 / 326 >

この作品をシェア

pagetop