恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「葵、なにがあった?」


優しい声で心配してくれる。



そんな声を聞くと聞けなくなっちゃうよ…。




「俺に話せない…?」


そんな優しい瞳で見ないで…。




「遼ちゃんは私に話せないこと…ある?」


私の問いかけに遼ちゃんは黙った。



「神崎先生から聞いたの…。遼ちゃんと付き合う約束をしてるって…」


遼ちゃんの表情が硬くなった。



「約束なんかしてないよ。神崎先生が何を言ったか知らないけど…
俺、葵しか好きになれない」




遼ちゃんの言葉を聞いてほっとした。


やっぱり神崎先生が言ったことは嘘なんだ。




なら…

あのことも嘘だよね…。




「神崎先生と‥セックスしたっていうのも嘘?
……嘘だよね?」








どうして?


どうして何も言ってくれないの…?




嘘って言ってよ…



バカだなって笑い飛ばしてよ…






いつも私が望む言葉を言ってくれる遼ちゃん。




だけど、私の目を見て遼ちゃんが言った言葉は、


私が望んだ言葉ではなかった。








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