恋想曲 ~永遠の恋人へ~
私と遼ちゃんが別れたことは、あっという間にみんなに伝わった。


学校って不思議。

誰かが付き合い始めたり別れたりすると、すぐにその噂が広がる。



私にとってこの噂はとてつもなく大きなことだけど、

みんなにとっては、たくさんある噂話の一つにすぎない。



学校祭が近づくにつれてみんなの話題は夜のフォークダンスのことで盛り上がり、
遼ちゃんの彼女が私だったということも忘れられていく。


そのせいか、鋭い視線を感じることも無くなっていった。







遼ちゃんとは別れてから会っていない。


なのに、遼ちゃんのことがわかっちゃうんだ…。



体育の授業で今頃バスケットをしてるとか、

お昼は大好きな焼きそばパンを食べてるとか…。



遼ちゃんはちゃんと前に進めたかな。


神崎先生と付き合うことができたかな…。





初めて出来た『元彼』。


みんなもこんな風に相手を想うのかな…。




今の私、末練だらけだね…。

自分でもいやになっちゃう。


きっと女の子が失恋したら髪を切りたくなるってこういうことなんだね。





前に進むために、


後ろを振り返らないために、



私は髪を切った。




この学校に胸をときめかせて入学した

あの頃と同じ長さに。











< 229 / 326 >

この作品をシェア

pagetop