恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「その子に何か用?」


階段を下りて来てくれたのは、

矢野先輩だった。



「この子、私の後輩なの。何か問題あるなら私に言って」


目の前の二年生の先輩より矢野先輩の睨みの方が勝ってた。



「なんでもないわよ!!」

睨み負けした先輩は、私の手を振り払って階段を下りて行った。




「矢野先輩、ありがとうございます…」


「なんだか変な噂聞いてるけど、私はブラバンで見てきた小川先輩と北島さんのことしか信じてないから」


冷たい素振りで言った矢野先輩の言葉が、すごく温かかった。



「先輩‥ありがとう…」


泣きそうな私の背中を困った顔で矢野先輩が叩いた。


「泣かないの~!これから演奏するんだから!」


「はい…精一杯がんばります!」




矢野先輩の優しさが嬉しかった。



そして、

思い出しちゃったんだ。


遼ちゃんが西山高校のラグビー部の人から助けてくれたこと…。



嬉しかった思い出が甦って、また泣きそうになった。










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