恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「そんなおばあちゃんの所に、親が決めた結婚相手の人が毎日来たの…。

その人が万作さん‥おじいちゃんだった」



おばあちゃんは私の顔を見て、またにっこりと笑った。



「万作さんは、何も食べないおばあちゃんに毎日蒸かしたお芋を持って来てくれてね、

戦時中でも鉄工場をしていた万作さんの家庭は裕福だから、食べることに困ってないんだとおばあちゃんは思っていたの。


だけど違ってた…。日に日に痩せて黒くなっていく万作さんの手が気になって鉄工場に行って見たら、そこは焼け野原になってた…」




おばあちゃんは悲しそうな顔で、小さくため息をついた。


きっとおばあちゃんの記憶に、その焼け野原が鮮明に残ってるんだと思った。




「万作さんは自分の手で作った芋を毎日届けてくれていたのに、おばあちゃんはそんなこととは知らず…

万作さんがお芋を作ってる姿を見た日、初めてそのお芋を口にしたのよ…。


温かかった…。とてもあったかくて‥おばあちゃん泣きながら食べちゃった。


そしたら万作さん、

『よかった、これでお腹の子も元気に育つよ』って言ってくれたの」




おばあちゃんは、嬉しそうに優しく微笑んだ。






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