恋想曲 ~永遠の恋人へ~
ドアを開けたらすぐに声をかけようと思っていたのに、

目の前の二人を見たら声が出なくなった。




私に気づかないまま抱き締め合う二人の姿。




開けたドアを半分まで閉めた私は、


何度も胸の中で呟く。



『大丈夫…』





そんな私の耳に、二人の会話が聞こえてきた。




「遼から誘ってくれるなんて嬉しいわ」


「チョコ…くれるんだろ?」


「もちろんよ。北島さんも渡すって言ってたけど、受け取るつもり?」


「泣かれたらいやだから、義理のつもりで受け取るよ」





嘘…。


遼ちゃんがあんなこと言うなんて…。


信じられない。


信じたくなかった。




泣き出しそうな私は、必死で泣くのを堪えた。





あんなことを言われてるのに



それでも遼ちゃんが好き…。






好きなんだよ…。






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