恋想曲 ~永遠の恋人へ~
ほとんどの生徒が校舎を後にしても、遼ちゃんは教室に戻って来ない。


もしかして、帰っちゃった?

朝、慌ててたから会う約束もしてなかったからな…。



一人寂しい思いで教室に鞄を取りに行った。



鞄を持ち廊下に出ると、自然と足が音楽室へ向かった。



遼ちゃんとの、みんなとの思い出がいっぱい詰まった音楽室。



明日になる前に、もう一度音楽室に行きたくなったんだ。






音楽室のドアを開けると、沈みかけた太陽の光が射し込んできた。



そこにいる


遼ちゃん……。




窓際の指定席に座り、私に微笑みかけてくれる。


「やっぱり来た…」


遼ちゃんは優しく微笑んで『おいで』って私に手招きをした。




「ずっとここに居たの?」


吸い込まれるように遼ちゃんの腕の中に入った私に遼ちゃんが言った。


「最後の高校生活、ここで葵と過ごしたかったから」




暖房が切れて肌寒い音楽室。


遼ちゃんの腕の中は温かかった。




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