恋想曲 ~永遠の恋人へ~
楽器ケースを準備室に置きに行くと、ドアの所で遼ちゃんと鉢合わせになった。


ドキッとしたけど、目をそらさずに遼ちゃんの顔を見た。

遼ちゃんは白いプリントを持ってどこか行くみたい。


「どこ行くの?」

「職員室。三者面談表出し忘れたから」



ペロリと私に見せた白い紙には

遼ちゃんの未来が書いてある。


「大学に行くの?」

「うん。たぶんね」



遼ちゃんの未来はすぐそこまで来てる。

急に実感して寂しくなった。


きっと私、今ぶさいくな顔してるんだろうな…



そう思った時、遼ちゃんの声が胸に飛び込んできた。


「今は俺、高校生だよ」



え…?

遼ちゃん、今私の心読み取ったの?


遼ちゃんは軽い足取りで階段を下りて行った。




遼ちゃんは私の心を掴むプロだよ。


きっと、これから何度もこんなふうに胸がキュンってなるんだろうな…。



そっと胸に手をあてると、高鳴る鼓動を感じた。



『好き』 がここにある。





遼ちゃんと過ごす高校生活…


大切にしよう。




ひとつひとつ思い出を


この鼓動と一緒に刻んでいこう。








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