恋想曲 ~永遠の恋人へ~
遼ちゃんの浴衣姿、かっこいいな。


渋い緑色の浴衣がとても似合ってる。


浴衣を着ると、いつもより体ががっしりしてるように見える。

男っぽいというか、男らしいというか…。

またドキドキしてきちゃったよ。




「これ…、借りたリップ洗濯してだめにしちゃったんだ。ごめんね」

嘘をついて遼ちゃんに買ったリップを渡した。


「べつによかったのに‥」


遼ちゃんはそう言って私の額にデコピンした。

「イタッ!」

「リップをだめにしたバツ」

「いいって言ったのに!」

「言ってません」

「言った!」

「言ってませ~ん!」


遼ちゃんはペロッと舌を出し、追いかける私から逃げた。



私、また嘘ついちゃった。


本当は全然痛くなかったよ。

なんだか距離が近づいた感じがして嬉しかった。





「きゃ!」

石につまづき転びそうになると、遼ちゃんが腕を伸ばして支えてくれた。


一瞬で視界が遼ちゃんでいっぱいになる。


「あっ…ありがと…」




一瞬だったのに、肩にはまだ遼ちゃんの手の感触が残ってる。



ドキッとした。

遼ちゃんの片腕の中にすっぽり入っちゃうんだもん。



それに、遼ちゃんの顔が少し赤くなったような気がした。


遼ちゃんもドキっとしたのかな…?




もしそうだったら、



嬉しいな…。





< 66 / 326 >

この作品をシェア

pagetop