恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「葵ちゃん!麻衣子ちゃん!」

同じクラスの田中君と伊藤君。

二人は走って私たちの所へ来た。


「演奏良かったよ」

「ありがとう」

ちょっと照れくさそうに鼻を触りながら話す田中君。


「ねえ、これからお祭り一緒に行こうよ」


「え‥でも…」


断る理由はないけど、信汰以外の男友達は緊張する。

それに、遼ちゃんのことが…



田中君の顔の向こうにいる遼ちゃんの姿が目に入った。



遼ちゃん‥こっち見てる…?


遠くてはっきりとは見えないけど、そんな気がした。




「ごめんね、私たち先約がいるんだ」

麻衣子が顔の前で手を合わせて断った。


先約?
誰かいたっけ?


「そっか。それじゃしゃあないな。また今度にしよっか」

「そうだな」


「ごめんね」

手を振る私たちに二人は軽く手を振り返し、ちょっと残念そうに人ごみの中へ入って行った。



「麻衣子、先約って誰?」

「先約?それは今から誘うの!」


麻衣子はまたいたずらっぽく笑い、お兄ちゃんと遼ちゃんの所へ行った。






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