恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「これからみんなでカラオケ行くんだけど、遼も行こうよ」


「ごめん、兄は妹を送る責任があるから」


「そっか。後で来れたら電話ちょうだい」


「おぅ、わかった」



私の知らない綺麗で大人っぽい人たちは、手を振ってカラオケに行った。



「行けばいいのに」

遼ちゃんを見ないまま投げやりに言った。



私、すごくかわいくない。


わかってるのに、止まらなかった。




「そろそろ帰ろう」


遼ちゃんは私の言葉を無視して立ち上がった。



どうして何も言わないの?

こんな私、どうでもいいの?




かわいくない私の手は、

気づいた時には遼ちゃんの浴衣を握ってた。



「どうした‥?歩けないか?」


黙って首を振る私の顔を、困った顔で覗き込む遼ちゃん。



かわいくないうえに困らせて

私って本当に子供だ。



困らせるだけってわかってるのに…




行き場のない想いが胸の中で渦巻いてる。



どうしたいのか自分でもわからない。


ただ、遼ちゃんの近くにいたい。



ううん、そうじゃない。




わたし…


遼ちゃんの特別になりたい。





もう、この手を離したくない!










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