恋想曲 ~永遠の恋人へ~
「あー、葵たちここにいたんだぁ」

麻衣子と嶌田部長が来た。



麻衣子は泣きそうな私にすぐに気づいて、持っていた綿飴で私の顔を隠した。


「葵、綿飴好きだったでしょ?あっちにかわいい小物売ってたから見に行こう!」



私の手を握り、遼ちゃんたちから離れるとすぐに声をかけてくれた。


「何があったの?」


「ふ‥ふられちゃったぁ…
告白する前に‥ふられちゃったよぉ」


麻衣子は泣きだした私の背中を優しく擦ってくれた。


「どうしよう‥、また遠くなっちゃう。そんなのやだよぉ…」


「落ち着いて。今日はうちに泊まって、ゆっくり話そう‥ ね?」


「…うん」




麻衣子に宥められ、私はなんとか平然を装った。


目の前に並んだアクセサリーを見て、何もなかったように「コレかわいい」なんて言ってみる。



「お兄ちゃん、これ買って」


「仕方ないなぁ‥、おじさん、コレと‥そのネックレスもください」



麻衣子はクローバーのブレスレットをお兄ちゃんにねだって買ってもらった。


笑ってる麻衣子は、その間も私の手をギュっと握っていてくれた。




しゃがんでる私の後ろに立ってる遼ちゃんは

「おまえは買わないの?」って、何もなかったように話しかけてきた。



本当に何もなかったのかもしれない。


遼ちゃんにとっては…。



そう思うと、なおさら遼ちゃんの顔が見れなくて、黙って頷いて答えることしかできなかった。







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