恋想曲 ~永遠の恋人へ~
視聴覚室で練習を再開してしばらくすると、副顧問の砂山先生が来た。

「あち~な~」

先生は団扇で顔を仰ぎながらだるそうにパイプ椅子に腰をかけた。


「先生やる気あるの!?」

矢野先輩が不機嫌に言った。


「やる気も何も、俺はブラバンなんてさっぱりわからん」


あ~あ、先生今全員を敵に回しちゃったよ。


みんなが睨んでるのもかまわずタオルで汗を拭いてる。


「先生ここにいる意味ないじゃん!」


先輩達に突っ込まれると砂山先生は姿勢を直して言った。

「教えてほしいところでもあるのか?」

「そりゃありますよ!先生教えてくれる?」

「あ~~、それは無理だな。けど明日からの合宿中にOBが顔出すって言ってたからそいつに聞けばいい」

「誰?誰が来るんですか!?」


先輩達の会話を聞いて胸が高鳴った。


もしかして、柏木先輩!?

先生、一つくらい喜ばせること言って!



「あ~~、たしか…柏木って、林先生言ってたな」



うそ~~~!!!

ホントに柏木先輩が来るんだ!!

砂山先生ありがとう!!

別に先生のおかげじゃないけど、なぜかお礼が言いたくなる。


『やったね!』

麻衣子がVサインをして微笑んでくれた。


すごく嬉しい!!

嬉しすぎて何故か緊張してきた。




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