君と俺の事情
集の事情


集side


『……』

『きみ、ここでなにしてるの?』

『え…?』


…―


十年前。
俺は住宅街の公園にいた。
誰と話すわけでも、遊ぶわけでもなく、ただベンチに座ってた。
何も考えてなくて。
そんなとき、たまたま声をかけられた。
一人の女の子に。


「ただいまー」

「お帰りー!みんな来てるんだけど…許してね?」

「あ、うん。遊我兄ちゃん帰ってくるまでには、片付けてね」

「あいよー」


俺の名前は長瀬 集。
今いたのが俺の姉・長瀬 結未(Yu-mi)。
遊我(Yu-ga)兄ちゃんってのは、長瀬家の長男だ。

三年前に、両親は交通事故で他界。
今は、社会人の兄と、大学生の姉、中学生の俺だけが住んでる。
両親達が、こまめに貯蓄をしてたおかげと、保険金が降りたおかげで、今まで通りの暮らしが出来てる。


「集ー!お菓子買って来てー」

「結未姉ちゃんが行けば!」

「今手が離せなーい」

「…わかった、今行くから!」
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