君と俺の事情
「あ、手紙届けに」
ぱらっと取り目を通す。
見た瞬間。
―ビリッ
引き裂かれる紙。
粉々に引き裂かれた紙を、ぐしゃぐしゃに丸め捨てる。
…ちょっと待てよ…。
なんで破く必要あんの?
「あたしは学校に行かない。学校に行く理由がない」
俺を睨みながら、俺に話す。
…理由がないから、学校来ないって?
ふざけんなよ。
「理由?勉強する為、義務教育の為だからじゃないの?」
「バカバカしい。くだらない」
なんだろうか…。
ものすごく…侮辱されてる気分。
真面目にやってる奴を、バカバカしいって一言で馬鹿にするなんて。
許せない…。
「不良とつるんでるより、ましな生き方だね」
俺は挑発的に言った。
だってそうだろ?
不良グループと悪さするより、ましな学生生活をした方が、絶対に充実してる。
「あんた、馬鹿なんじゃない」
「君に言われる筋合いないよ」
「くだらなっ」
人は一歩間違えれば、取り返しの着かないことをする。
だけど、間違えなければ、自ずとちゃんとした道ができる。
それを手嶋は分かってない。