君と俺の事情


それだけは避けたかった。
だから、あたしはその子が来ない日だけ、グループに参加してた。

「君と俺って、似てんだな」

「は?どこが」

「俺も、事故で両親亡くしてんだ」


新しい中学に行けば、新たな出会いがある。
まさに、長瀬がそうだった。
最初はあたしも、とっつきにくい奴だって思った。
だけど、話していくうちに、長瀬って凄い面白いし、一緒にいると楽しいって感じた。
仲間達といるよりも、長瀬の方がいい気がする。


「しかも、姉がさ元不良でさ」

「そうなんだ…」

「結構酷くて。母さん達が死んでから、自分がどんだけ迷惑かけてたかわかったんだって」

「……」

「亡くなった両親が、悲しむとか考えないの?」


長瀬にそう言われたとき、あたしは何かに気づいた。
なんか、目が覚めた気分になった。
あたしを兄よりも可愛がってた両親。
あの2人は、不良になれとは願がってない。
あの人達は、ちゃんとした人になれって、誰にでも優しい人になれって、そう願っていた。
今のあたしみたら…泣くかな…?
悲しむ…よね…。
ゴメン…母さん、父さん。
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