君と俺の事情
「俺さ、他人なんだ」
「え?」
あたしの話しをしたら、長瀬も俺自身の話しもすると言い出した。
確かに話しを聞いてると、あたし達は共通点がいくつかある。
「俺は親に捨てられたんだ」
「捨てられた?」
「長瀬の養子。結未姉ちゃん達とは、血が繋がってない」
あたしは初めて見た。
長瀬が、とても深刻そうな顔をしてるのを。
それだけ、深刻なんだろうけど。
他人が自分だから、何かあったら俺が出てけばいい。
と長瀬は言う。
「折角、家族にしてもらったんだ。だから、俺が家族を壊したくない」
長瀬がそう言うと、あたしは自然と涙が出た。
「…なんで、なんで泣くんだよ!」
「長瀬は、1人で頑張ってるのに、あたしは何からも逃げてる!それが…凄く情けないって…!!」
長瀬は自分が養子であることを、拾われたときから自覚。
その現実を知りながらも、家族になった人達と生活してる。
自分が迷惑かけないように、自分なりに頑張ってる。
それなのに、あたしは全てから逃げてる。
逃れようとしてる。
それが、どうしても情けない。