君と俺の事情
安心して自分の部屋に篭れなかった。
そのため、階段に身を潜めて話しを聞いていた。
なんか、女の話しって怖…。
悪魔にでもなったんじゃない…。
話し的に、多分俺の話しだと思う。
「長瀬は随分とシスコンの様ですね」
「そりゃ、歳が結構離れてるからね」
厭味と厭味のぶつかり合いと、睨み合い…恐ろしい…。
つか、紗夜はなんで結未姉ちゃんと話すの?
「長瀬って、大切ですか?」
「当たり前。大事な弟だから」
「…奪われるとしたら、どうします?」
「…何する気…」
確実に今、結未姉ちゃんの声のトーンが下がった。
めちゃくちゃ警戒してる。
紗夜は、相手をわざわざ挑発して。
一体何がしたいんだ…!
「あたし、長瀬のこと好きなんですよ。だけど、長瀬は貴女が好きみたいで…」
「脅す?それとも殺す?」
殺す?
ちょ、ちょっと待って!!
「始末した方が…いんじゃないかってね!!!!」
―ガチャーンッ
声が大きくなった瞬間、俺は階段を飛び越えた。
結未姉ちゃんが危ないって、俺の頭がそう言ってるから。
「卑怯だね。刃物なんて」
「ゲームに卑怯なんて、付き物なんだよ!!」
―ブンッ
「止めろ!!」
「っ…邪魔だ、そこどいて!」
「自分の欲しいモノを手に入れたいが為に、人を危めるなんて、君はどうかしてる!間違ってる!!」
「集ちゃん戻りな」
「でも!」
「黙れーっ」
後ろを向いてた俺は、紗夜が俺に向かって刺そうとしたことに気づかなかった。
瞬間的に、俺は結未姉ちゃんを庇う様にして、かすり傷適度の傷を作った。
「うあっ」
「集ちゃん!!」