君と俺の事情
次の朝、俺はいつもどおりに起き、早々と朝食を作った。
今日は誰の顔も見ないで、家を出て行きたかった。
だから、2人分の朝食を作り、逃げるように学校に行った。
「おはよ」
「おう、おはよ。随分早くね?」
「なんとなく、早く待ってただけ」
「そうなんだ」
紗夜宅に着くと、既に紗夜が待ってて。
やけに女子にしては早い…。
女子ってさ、めちゃくちゃ準備遅いじゃない?
だから少しビックリだわ。
登校中、紗夜とは何も会話をしなかった。
なんとなく、気まずい空気が流れてたからさ。
話しにくいかなってね。
無理に話すのもあれだし。
…ー
ー放課後
部活動以外の生徒はみんな帰ってる中、俺は1人屋上にいた。
なんかさ、帰りたくないっつーか。
動くのめどくさいというか。
とりあえず、今は帰る気ない。
「なーにしてんだよ!」
声をかけられたら方を向くと、クラスメートの千尋が笑って立っていた。
「お前いつからいたんだよ」
「あ?ついさっき?昼寝してたんだよ」
昼寝って、何時間寝てんの…。
普通に4時間越してるだろ。
「つか、珍しいな。集がここ来るなんて」
「来ちゃダメなのかよ」
「いや。ただ珍しいしか言ってねーよ」
千尋は家計事情複雑なんだ。
小さい頃に、姉と弟を事故で亡くしてて、両親は離婚してて。
母親に身を寄せてたが、母親は病気で亡くなって。
今は一人暮らししてる。
俺より酷い。
なのに千尋は、弱音吐いたことないし、思ったことないんだ。
凄いよな。
俺なんて、弱音吐くし。
情けない。
昨日あったことから、逃げようとしてるし俺。
結未姉ちゃんは好きだけど…。
ーガチャ
「おっとぉ、俺はこれで置賜するぜ!」
なんでだよ!
と思いながら、ドアを見てみると納得。
紗夜が来たからだった。
自分に用がないってわかって、出てくなんて酷いな。