君と俺の事情


「じゃ、長瀬から集って呼ぶからね」

「ご勝手に♪じゃね」


帰りも走って帰った。
結未姉ちゃんに話すために。
俺達のことと、俺の気持ちのこと。
つか、結未姉ちゃん帰ってるかな?


…ー


「結未姉ちゃん?」

「あ、おかえり」

「寝てたんだ。課題もやりもせずに」

「黙れ、クソガキ」

「うわーこっわ〜」


いつものように、言い合いをした。
結未姉ちゃんが無理に笑ってるのが、一発でわかった。
誤解してるから、それで多分。
俺が早く言えばいい話しか。


「結未姉ちゃん、話しあるんだけど!」


少し強めに言うと、結未姉ちゃんからは「あ?」と言われる。
あ?じゃないんだけどなぁ…。
俺は結未姉ちゃんの向かいに座って、全て話した。
もちろん、結未姉ちゃんはいい顔しないよ?
元ヤンの結未姉ちゃんだから、凄く怖い…。


「結未姉ちゃんは好きだよ?でも、家族や兄弟としてなんだ」

「……」

「結未姉ちゃん?」


結未姉ちゃんはゆっくりと立ち上がった。
俺を見下ろし、微かに笑う。
悪魔の微笑みだ…めちゃくちゃ怖い…。


「…だと思った」

「へ?」

「あんたとあたしの“好き”は違うよ。つか、好きじゃないし。本気にしてたの、集ちゃんだけだよ」


そう言って、居間を出て行った。
ちょ、ちょっと待ってよ。
俺…遊ばれてたってこと?
え、マジで?

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