君と俺の事情
結未side
「お遊び終わったよ」
『そっか。残念だったな』
「つか、どうでもいいし」
『ホントは本気で好きだったんだろ?」
「高3まではね。今までは遊びだよ」
『お疲れ様。今日は帰って来ないだろ?』
「ああ。冴ん家に泊まる」
『いつから彼氏出来たんだよ』
「集ちゃんにちょっかい出し始めたときから」
『お前な「じゃあね」
無理やり電話を切った。
集ちゃんは好きだった。
でも、高3まで。
大学行ってから友達と連んでたら、つまんなくなってきてさ。
だから、集ちゃんにちょっかい出した。
そしたら、集ちゃん勘違いしてたみたいだし。
馬鹿みたいだわ。
…なんかあたし、酷いことしてるよね。
ま、仕方ない。
あたしだって女だし。
恋愛ゲームぐらいしたくなる。
でも、あたしのおかげで、集ちゃんは恋愛の仕方わかったみたいだし、よかったんじゃないの?
高校生なのに、恋愛の仕方も何も知らなくて。
女に興味なくて。
あの年で彼女いないなんて、超情けないし。
「冴。迎えに来てって言ったじゃん」
「…ゴメン。弟君、大丈夫だった?」
「もう大丈夫だよ。彼女出来たみたいだし。あとはあの子次第」
「いい姉を持ったね、弟君は」
「冴はいい彼女持ったね」
「自分で言うの〜ないわ」
集ちゃんにはあたしに彼氏がいることは言ってない。
だって言ったら、色々面倒なことになるからさ。
両親が居なくなってから、家の為に、勉強や家事ばっかやって。
あの子は1回も、家や他の場所で遊んでない。
それに恋愛なんてがんちゅになくてさ。
そんなのって、つまらないと思う。
モテてることも全然わかってなくて、女なんて全然見てないし。
あの子の脳内は、家と勉強の文字しかないから。
だから、そんな集ちゃんに恋愛の仕方をあたしが遊びながら教えた。
集ちゃんがもし、彼女も家も持たなかったら、あの家に縛られてるみたいで嫌じゃん。