君と俺の事情
「彼女の紗夜」
「よろしくです」
俺達も挨拶を済ませた。
みんなというより、兄弟揃ってカレカノいるなんてすげー。
マジ凄いや。
遊我兄ちゃんはいきなり立ち上がり、俺が知らない話しをし始めた。
なんか、この面子で一緒にここで暮らすって。
「俺初耳!!」
「いやさ、紗夜は1人だから可哀相だしさ。結未は冴をここに置きたいみたいだし、薫は俺といたいって言うし?」
「なにそれ!!前もって話しとけよ遊我兄ちゃん!!」
「許せ♪」
充分部屋はあるし、広さあるから別に構わないけど、いきならってのはさ?
あんまよくないよ…。
「あとお前がOKするかなんだ」
「…いいよ別に。紗夜といられればさ」
「うんじゃ決まりだな!」
騒ぎ始める遊我兄ちゃん。
こんなに人がいるのが、俺にとって新鮮だ。
いつも3人しかいなかった世界が、ガラリと変わった気がする。
それに、俺にとって大事な人がいるし、家族が増えたし。
一石二鳥なのかもしれない。
「よかったんじゃない」
「母さん達いなくても、家族がいなくても、新しい環境が出来たんだし。また、新しい思い出を作ればいい。埋まらなかった分を」
「結未姉ちゃん…」
「ツンデレなんだから。集くん、みんなで一緒に暮らしたいって言い出したのは、結未なんだよ?君の為にって」
「遊我もあなたの為だって言ってたわ」
「俺の為?」
「あたし達、あなたの事情は聞いたよ?あんな過去あるなら尚更よ」
「家族が多い方が、辛い過去を思い出さなくて済むと思う」
「薫さん、冴さん…ありがと」
みんな俺の為を思って…。
俺、凄く幸せもんじゃん。
メチャクチャ嬉しい。
俺のこと、ちゃんと受け止めてくれる日がいて。
わかってくれて。
「みんな、今日から家族だ。冴も薫も紗夜も」
「結未も俺もちゃんといるし」
「あたしがお母さんになってあげるよ」
「じゃ、俺は兄貴で!」
「集、ずっと一緒にいられるよ」
「みんな、ありがと!!」
性格が違うし、喧嘩するかもしれない。
だけど、友達だって同じことだ。
この人と喧嘩するかもしれないけど、毎日楽しくしていきたい。
もちろん、紗夜も。
ずっと、ずっと。
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君と俺の事情
本編完