烏城の陽
 散々に笑った遠藤は「よし」という掛け声とともに私の右腕を掴み、持っていたPSPを手渡した。そして自分の携帯をポケットに押し込み、言った。

「今日からお前は俺のサポート役として働いてもらう」

 なんのこっちゃととぼけてもみたかったが、私も男である。勝負事の約束は守らなければならない。


 私が返事のかわりに頷くと遠藤は満足げに笑う。

 私と遠藤は教室を離れ、賑やかな祭りの中に足を踏み入れる。

 外は暑かった。






 遠藤は怒らない奴なのだと私は思った。彼は笑う。最初から最後まで。


< 20 / 24 >

この作品をシェア

pagetop