烏城の陽
「よう」
 男はにやけた顔で私に声をかけた。

「やぁ」
 私も出来るだけ爽やかさを意識して、けれども目線はPSPからそらさずに、できる限り相手に興味を持っていないようなそぶりで、それでいて何処か強い声で返答した。

「文化祭楽しんでいるみたいだな」

 あきらかな皮肉が気に障っても、私は常に紳士的がモットーだ。

「あんたこそ随分と気分が良いようだな」

 会話が途切れ、二人の間にゆっくりと沈黙が訪れた。
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