烏城の陽
 私は瞬時に目の前に立つ男の分析をした。もともと人間観察が好きであった私なので、比較に必要な条件は心得ている。

 背は高い方で、身体つきは私よりもガッチリとしている。顔は醜くはなく、むしろ良い方に傾いていると言ったところか。髪はいわゆるソフトモヒカンで、パッと見はスポーティーで爽やかと。ほうほう、なるほど……

(…………腕っ節の喧嘩でも、ビジュアル的比較でも、私は到底こいつに敵いそうもないではないか!)
 ほんの十秒もたたないうちに私がやけになったことに男は気づいていない。


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