純愛☆フライング―番外編―
すると、志穂はブチブチと文句を言い始めた。


「ずるいっ! ゼッタイに引けるわけないのに。どっちにしても、たっちゃんがイイ思いするだけじゃない!」


イイ思いなら志穂のほうがたくさんするんじゃ、と思ったが口にはせず……。


「わかったよ。じゃあ……あ、そうだ。さっきのカルディナールの彼女に頼んでみようかな~。確か、東城さんとか言ったっけ」


巽は志穂の手からパッとレシートを奪い、列に並ぶフリをしたのだ。

すると、テキメン追いかけてきて、


「わたしが引く! あんな人誘っちゃダメだからねっ」


マジで怒った顔をする。

巽は志穂の髪を撫でながら、彼女の耳元でささやいた。


「本当に、本気でイヤなら無理強いはしないさ。お前の可愛くて恥ずかしいカッコがもう1回見たいって思っただけなんだから」

「……シテもいいけど、写メは撮っちゃダメよ」

「りょーかい」

「それと、もし、本当にフライパンセットを当てたら、たっちゃんにもお願い聞いて欲しい!」


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