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バスが停まったのは、砂利が広がるただの空き地。
あたしは大きな荷物を肩にかけ、眠ってしまった颯を背負い席を立つ。
なかなかの重さに顔が歪んだ。
気の利かない運転手の視線を浴びながら、やっとの思いでバスを降りた。
あまりの重さに一度顔を下げ、足元を見る。
そして、ふと顔を上げると1台の白い軽自動車と、その横で煙草をふかす男の姿が目に入った。
ボサボサ頭にだらしないスウェット姿の彼は、兄の冬真(とうま)だ。
お兄ちゃんはあたしたちに気付くと、煙草を深く吸い、携帯用灰皿の中へグイッと押し込んだ。
「久しぶりだな!」
そう言いながら、お兄ちゃんは駆け寄って来た。